森の痕、または残され丘

Diary

06.森の痕、または残され丘

現場は20余年のあいだ手入れのされていない檜林だった。
うっそうと雑木が茂り―笹がはびこり―足を踏み入れることすらためらわれたものだ。
植林前から自生していたモミの巨木の樹齢は優に100年を超えていた。
はじめてチェーンソウを始動させてから2年が経った。
木々は切り倒され、根は引き抜かれた。
わずかに残された表土には切り株が墓標のように立ち並ぶばかりだ。

広くなった空の真中を、飛行機雲がわがもの顔で切り裂いた。