石、または賽の河原

Diary

10.石、又は賽の河原

格納庫側面の立ち上がりには現場の自然石を使うことにした。
伊豆石の端材、または大きさの揃ったグリ石の購入なども考えたが、無尽蔵に転がっている石を使わない手はない。身の回りにあるもので造るのは原則だ。

発想と理屈は申し分なかったが、作業に取りかかると様相は一変した。真冬に汗をかきながら、大小の石を積めど運べど一向に出来上がらない。

「まるで、賽の河原だなぁ」と自嘲していたのは最初の頃だけで、そのうち「もしかしたら、ここは本物の賽の河原かもしれない。 今、絶命して地獄に落ちても(僕が天国に召されるいわれはないので…)きっとこの作業の続きをやるに違いない」。と、妙な確信を持つまでになった。

自然に在るものはすべからく美しいたたずまいを身に付けている。地表に拡がる樹林も地中に埋まった石も同じだ。
人が切り倒し、掘り返して、彼らが在ったところ以上の『場』を提供するのは容易なことではないのだ。