比賀流 快楽的セルフビルド入門

Publish

第8回 基礎工事 [ 上級編2 ] ~配筋

展示棟(左)と住居棟(右)を結ぶ木道[ 上級編 ]の第2回は、基礎工事。
打った捨てコンの上に、墨付け、配筋、枠建込みと行なう。

ポンプ車を呼び、ホースで行なう打設作業は、バケツに入れた
生コンを枠に流し込んだだけの[ 初級編 ]に比べると、
材料も仕事の量も、まさしく象と蟻んこだ。

基礎は要。何度もゆっくりと着実につくりあげていく。



捨てコンに墨を付ける。曲線壁は方眼をたどって描く

捨てコンのうえに原寸の図面を描く、すなわち『捨てコン黒板』。黒板への作図作業は全部で3回行った。住居棟の部分、展示棟のギャラリー部分、同じくピロティー部分、と地形にそってそれぞれのRC壁のGLが違うためだ。このレベルの調整は難題で、結局、住居棟と展示棟の高低差を正確に出すことはあきらめてしまった。

「二棟を連結する木道を作るときに調整すればいいや。」程度の軽い気持ちで課題を先送りしてしまったのがまずかった。おかげで、予定外の擁壁を追加したうえに、不自然に折れ曲がった木道を毎日歩くハメになってしまった。建築に限らず、課題は先送りすればするほど厄介になっていく。

鉄則は、
1.その時出来る事は、全てやり終えて次の作業に移ること。(整理整頓、後かたづけも含む)
2.同じ作業なら、やり難い部分からやってしまうこと。
  (技術的に差がある場合は、逆に容易な方から取りかかった方が良い。)

という2点だ。当たり前のことをもったいぶっているようで気がひけるが、連日作業を続けていると、ついこれと逆のことをしでかしてしまう。判っていても実行が難しいことなのだ。


話を『ステコン黒板』の上に戻そう。先月号でトランシットを使った基本的な墨打ちの方法は書いたが、実際は簡単にはいかない場合もある。今回の建物では曲面の壁もあった。器具の設置場所が窮屈で測量しづらい場所では、逃げ墨を打つ。500mmとか1m離れた所で測量し、平行移動させる方法だ。盛り土などで見通しが得られない場合も原理は同じ、やりよい場所に別の測点を設定して少し回り道をすれば良い。不規則な曲線の壁が一番厄介で、『黒板』にグラフ用紙を描いて点で追うしかない。

慣れてくるといろんな応用もできるようになるが、油断は禁物!器具の据えつけを怠り無くやって、二度三度と、確認のための計測もやっておこう。ここでの間違いはとりかえしがつかない。測量を終えたら要所はマジックでなぞっておいた方がいい。チョークのラインでは一回の雨で消えてしまう。せっかくの苦労も水に泡だ。


目次へ戻る




鉄筋はナマモノだ。安くゲットするには古物を狙え

古材で安く上げた木材の例(第4回参照)でも分かるように、資材は購入の仕方ひとつでずいぶんと価格が違ってくる。鉄筋も同じだ。何ヶ所かの金物店、鉄工所などを回って値段を交渉していると2~3割は当り前で、場合によっては倍以上の価格の差がある。丁度、バブルがはじけて建築需要が急激に落ち込んでいた時期でもあった。

僕が買いつけたのは、鉄筋加工業に見切りをつけてリサイクルの店を始めた人からだった。バブル時の在庫を沢山抱え込んでいるという話を耳にしたからだ。又、鉄筋は生鮮食料品同様に『なまもの』で時間が経過すると売り物にならなくなるらしい。特に、足元を見て買い叩いたつもりはないのだが、加工賃込みでも他の業者より格段に安かった。曲げ加工の必要な役ものも多くなり、とても手で曲げて追いつく量ではないので加工賃込みの価格設定は嬉しかった。

そうそう、前に話した中古トランシットはここのリサイクルショップで譲ってもらった物だ。AV(アダルトビデオ)5本までおまけに付けてくれて、いま思い出しても実にいい人だった。


目次へ戻る




RCは鉄筋でもつ。コツは押し引きのバランス

薬物鉄筋は4種類・ハッカーの使い方配筋の作業は半端ではなかった。工房の時[ 初級編 ]のように「鉄筋だって入ってます」程度のものではなかったのだ。斜面の土圧と建物の重量を一手に受けるのだから当然なのかもしれないが、それにしてもおびただしい量の鉄筋だった。直径12mm~15mmのものを100mmピッチでダブルに編んでいく。鉄筋の総重量までは判らないが、結束線の箱を1ダースほど使ったことからもその量がお判りいただけると思う。もっとも、最初はハッカーの使い方が判らず、結束線を相当無駄にしてしまったが・・・・・・・。

このハッカーの使い方を教えてくれたのは、生コン会社の人だった。ミキサー車の運転手さんにはいろんな経歴の人がいて、様々なことを教えてもらった。元電気屋さんには配線について、元ペンキ屋さんには塗装のコツを。配筋や型枠にいたっては、何人かの人が休日にわざわざ出向いて一緒に作業までしてもらった。

押し圧力はコンクリート、引き圧力は鉄筋が受け持つ。いずれも強度を均一にして弱点を作らないことが大切だ。配筋のピッチにムラがあると、そこに力が集中して亀裂を生む原因になる。かといって、やみくもに鉄筋を多くしても強度が高まるわけではなく、逆に押し圧力に弱い部分になってしまう。何本かの鉄筋に100mmおきに印を付けておいて正確に組んでいく。

手順は図で示したが、長尺の素材なので組あげるのは意外に難しい。特に立ち上がりのU字型材の取りつけ部分、壁のコーナー部分などは気をつけないと後で鉄筋を補充することはできない。

鉄筋を継ぎ足す場合も配慮が必要。直径の30倍以上の重ね代を確保して、できれば先端を少し曲げておくと理想的である。

鉄筋はRCの要だ


目次へ戻る




スペーサー、かぶり厚、通り・・・配筋検査も自分でやる

配筋の手順ベースの配筋を終えたら、バール(大型の釘抜き)を使ってスペーサーを挟み込んでいく。鉄筋全体を持ち上げてコンクリートでくるみこむのだ。ベース部分は半永久的に土中の湿気に晒され続ける。かぶり不足で、どこかの箇所が錆び始めれば、長い年月の間に鉄筋全体へと錆が伝わってしまう恐れがあるのだ。

最後に、もう一度測量したラインと立ち上がりのU字型材の列がずれていないかをチェックする。捨てコンと鉄筋の間にたまっている枯葉なども丹念に除いておきたい。(コン打ち直前にブロアーで吹きだすとよい。)・・・やはり、コンクリート打設前はソワソワしてしまう。

ベースコンの木枠には、それほど気を使わなくても平気だ。側圧が強くないし、失敗しても多少生コンが無駄になるだけで済む。ただレベルにだけは気を付けた方がいいので、分かりやすいようにベースの厚みと同じ幅のパネルを使い、盛りっ切りで打ち込みをする。立上がり壁近くのレベルは特に手抜き厳禁。結束線などを使ってしっかりと目印を付けておかないと、後悔することになる。


目次へ戻る




打設は筒先勝負。均等に回し打つ

打設前に、配筋チェックコン打ちに関しては後で詳しく書くが、ともかくベースコンを打ってしまわないと話が進めづらいので、手早くベースだけ打ち終えておくことにする。

厚さが300mmともなると、ベースコンといえども大量の生コンが必要になる。ネコ(一輪車)ではラチがあかないので、やむなくポンプ車を使う。1日あたり4万5千円也。ポンプ車は短時間で大量の生コンを打ちこめるが、廻し打ち(全体に均等に流し込む)をしないと組上げた鉄筋を流してしまうほどの圧力がある。オペレーターに任せきりにしないで、自分で打ちこんでいるつもりになってこまめに注文を出そう。

ベース自体は地下に埋まるので仕上げの必要はないが、壁面の型枠を乗せる部分はコテで均しておくと次の作業が楽になる。同様に作業用のアンカーも要所に埋めておく。鉄筋の端材をU字型に曲げた物で、型枠を組む時に不可欠だ。

鉄筋はRCの要だ

戦争のようなコン打ちの1日を終えると、いつもながら『ドッ』と疲れが出るが、酒もことさら旨くなる。『快食快眠』!作業意欲を持続させる秘訣はそんなことかもしれない。

せっかちに、木枠を取りはずして仕上がりを確認したいところだが、コンクリートは養生が大切。次回までゆっくりと寝かせて、僕もひと休みしよう。

次回は、立ち上がり筋の施工!


目次へ戻る